マーヴィン・ゲイ

Midnight Love(1982)

実の父親に射殺されるという何とも悲劇的な死を遂げたマーヴィンの 結果的にラストアルバムとなってしまった「ミッドナイト・ラブ」について書きます。

心身ともに疲れきっていた70年代の終わり頃、マーヴィンはモータウンの創設者ベリー・ゴー ディ・Jr.の 実の姉アンナとの離婚問題もようやく終結し、同棲中だったジャニスとの再婚もつかの間、また離婚してしまいます。

モータウンとも已然揉めたままベルギーに逃げるように移住し、隠遁生活とも言えるような暮らしを 送っていたマーヴィンが、彼をシンガーへと導いた生涯の恩師でもあったHarvey Fuqua(ハーヴィー・フュークワ)と 新天地コロンビアの副社長であったラーキン・アーノルドが救いの手を差し伸べることによりこの大復活作にして大名盤! 「midnight love」が制作される事となりました。 リズムマシーンなどを使い、打ち込みを中心とした言わば宅録のような作品で まずそのチープなサウンドに驚かされます。今までの作品のような一流のプロミュージシャン達によって録音された ゴージャスなサウンドとは違いますが、この悪く言えば安っぽいサウンドが80s以降のポップミュージック(特にR&B・HIPHOP) に与えた影響は多大なものであることは容易に想像できます。今聴いても逆に非常に現代的に響きますね。 しかもそのサウンドにモータウン後期のどの作品よりもイキイキとしたマーヴィンの歌声が乗るんですから たまりませんね。

このアルバムは大ヒットシングル「セクシャ ル・ヒーリング」を生み、グラミー賞最優秀ヴォーカル・パ フォーマンス部門を受賞。 その後のR&B/ソウルシンガーに与えた影響は多大で計り知れません。 そしてこれがマーヴィン最後のオリジナル・アルバムとなってしまったことは残念でなりません。